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双子の惑星

執筆者の写真: pepopepo

どこの土地にも、問題や事件は起きるもので

それは通りがかりに見ず知らずの口から、助言として小耳に届いたりする。


「最近この辺りで星が暴れているらしい」


「そりゃあ怖い」


「あんたも悪い事は言わない、気をつけるこった」


星は嘘つきで、

気まぐれに恐ろしい。

遠方の海で、惑星がひとつ滅びたらしい。


時々銀河で噂が流れるような、多少名が知れた小さく美しい惑星だったはずだ。


惑星は流星群の経路にたまたま居合わせたために、一夜にして跡形もなくなった。


けれど、

今年の流星群の経路は、惑星の浮かぶ海とは全く違う海域が予定されていたはずだったのだ。


それというのも、

流星の先頭に立っていた星が、

とある日に耳にした惑星の名を口にしてしまったらしい。


たったそれだけ

と、思うけれど。


銀河では少しの出来事が惑星を滅ぼしたり、

どこかで惑星を生み出したりする。


恐ろしいことも、不思議でしかないことも。

掴み所がない無形の存在として、起きてばかりいる。


「やあダンナ、また会ったね」


助言してくれた男が、声をかけてきた。

2度目の会話ともなれば、少しばかり慣れたように話してきた。


「聞いたかい、あの惑星、双子になったらしい」


翌日、

滅びた惑星は2つに増えていたそうだ。


「そうかい、双子になったかい」


「そりゃあ見応えがあるだろうなあ」


未だ見たこともない、

遠い海域に浮かぶ惑星を想う。


この銀河では不思議なことばかりが起きる。

きっと明日は、自分自身が3人に増えることだってあり得るのだろう。


いつか双子の惑星を見に行きたいと思った。



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